星のおくりもの. 22



寝室もリビングと同じ、天井をくりぬいて硝子を填めた造りだった。重なる布は濃い色が多く、それだけがリビングと違う。

 

「少し日に焼けたみたいだな。痛くはないか?」

「大丈夫、です・・・ん、ふっ」

 

寝台の上で服を脱がされて、日の光がじわりと熱い。翔雅の触れてくる箇所も熱くて汗が滲む。

覆い被さる翔雅は翔愛から見てとても綺麗で、同じ様に少し汗ばんだ肌に手を伸ばせば胸元に口付けられる。

いつも思うのだが翔雅はとても器用で、優しい。壊れ物に触れる様な動きなのにあっと言う間に翔愛は何も考えられなくなって為すがまま、ただ意味のない声を上げてしまう。

会話らしい会話も無理で、しようとも思えない。翔雅の唇が翔愛の性器をかすめて太ももの内側を甘嚼めば面白い様に身体が跳ねる。何度か強く吸われて、そのまま性器を舐められて後ろにも触れられる。

 

「あ、あ・・・あっ、う、しゅう、が、さまっ」

「我慢しなくて、良いんだぞ」

「や、僕も・・・っ」

 

何度か行為を重ねていくうちにこれが快楽だと翔愛にも理解できた。じわじわと身体の奥を焼かれる感覚が、叫びだしたいむずがゆさと気持ち良さ。

翔愛ばかりではなくて、翔雅にもと思うのにいつも思い通りにはいかない。

 

「俺は後で良い」

「や、あ、ああっ」

 

手を伸ばしても翔雅の頭を掴むだけで、そのまま前を強く吸われて達してしまった。

大きく震える身体に翔雅の笑む気配がするけれど、何もできない。力の入らない身体ではあはあと息をする翔愛に翔雅が身体を起こして翔愛を抱き上げる。

軽く口付けされて、翔愛からも口付けして少しずつ動く様になった身体で翔雅の肌に触れる。

唇を首筋に、舌を出して胸元に吸い付いて、そのまま下がれば少し驚かれるけれど、止めない。

 

「無理はするなよ」

「僕だって、したい、です」

 

優しく髪を梳かれながら舐めるのは翔雅の性器で、既に勃ち上がりそうなものを両手で支えて舌を出す。

口に含むには大きくてじゃれる様な動きで舐めていればだんだんと苦い味がしてきて翔雅の息が荒くなる。

日の光の中で白く細い背が汗に滲み黒髪が絡みつく。与えられる拙い愛撫よりも美しくも妖しい、一生懸命な姿に翔雅の限界が近づく。

 

「もう、良い。翔愛、そのまま横に」

 

余裕のなくなった翔雅もとても綺麗だと翔愛は思う。優しく押し倒されて、翔雅の指が香油を含んで翔愛の後ろを解す。先程も少し弄られていたから素直に翔雅の指を迎え入れて、水音と翔愛の声が寝室に響く。

 

「ふ、あ・・・ん、また・・・あぅ、んっ」

 

こうなると翔雅の思うがまま身体を弄られるだけになって、涙の浮かぶ大きな瞳が熱と快楽を含んで翔雅を煽る。

 

仕草の1つ1つにこんなにも欲情するとは思わなかった。与える愛撫に喘ぐ姿を見て、熱と同時に感動すら覚えるとは思いもよらなかった。

同じ性別ではあるのに翔雅の下で身体を揺らす翔愛がとても愛おしく感じると同時に、どうしようもなく煽られるなんて。

身体の内側を弄る指を増やし、時間をかけて慣らしながら翔愛の手が伸びてくれば胸元を弄っていた手を離して握りしめる。力の入らない手に浮かぶのは優しい笑みで、こんな行為の最中には似合わないものだが、翔雅に良く似合う表情でもある。

 

「翔雅さま、も、駄目です・・・はやく」

「そう急かすな。俺にも、限界があるんだぞ」

「でも、んぅ・・・大丈夫、です」

 

はあはあと肩で息をして苦しそうなのに幸せな笑みを浮かべれば翔雅の指が引き抜かれて身体が揺れる。仕方がないなと苦笑する翔雅はけれど限界だった様で、直ぐに翔愛の身体を内側から焼く衝撃がくる。

最初だけは何度しても少しの痛みと恐怖があるが、それも直ぐに薄れてくる。何も考えられず思い切り抱きしめられて返す事もできなくて両手が彷徨うが、終わる頃には手を握られているからとても嬉しい。

 

 

重なる身体から熱が吐き出される頃には昼を過ぎていて、疲れ切った翔愛と心地よい疲労でまどろんでいれば本格的に腹が空いてくる。

 

「・・・腹が減ったな。翔愛、動けるか?」

 

既に風呂は終えているから後は動くだけなのだが、まどろむ時間も捨てがかった為にこんな時間になってしまった。

まだぐったりと寝台に転がる翔愛を見ればよろよろと起き上がろうとして、失敗した。

 

「ごめんなさい・・・」

「いや、謝るのは俺だ。すまん」

 

これでは一緒に魚捕りは無理そうだが、一人で置いておくのも気の毒だろう。

 

「翔愛、これを持ってくれ」

「クッション、ですか?」

「後、掛布もな」

「・・・?」

 

翔雅も一人で潜るよりは翔愛がいた方が嬉しい。

まだ疲れている翔愛にクッションと掛布を持たせてから抱き上げる。小さく軽い翔愛だから翔雅には軽く、以前、まだ足が弱かった頃には良くこうして移動していたのを思い出す。

今は翔愛も丈夫になり抱き上げて歩くことはなくなったから腕に感じる重さが懐かしくもくすぐったい。

 

「一緒に行こう。回復したら果物を採りに行ってくれ」

「・・・はい!」

 

疲れている翔愛を気遣ってくれたのだろう。嬉しくてクッションを持ったまま翔雅の腕の上で抱きつけばしっかりと抱き返される。

翔愛にもこの移動は久しぶりでやはり懐かしい記憶がよみがえる。

まだ歩く事すら困難だったあの頃の記憶は悲しいものも多いが、嬉しさも多かった。

 

ゆらゆらと揺れる高い視線と、側にある翔雅の顔。

掛布とクッションを握りしめ、ゆっくりと移動して船から下りた砂浜に向かう。

途中で何度か翔愛から翔雅に口付けたりして、濃密な時間を引きずったまま浜辺に到着した。この辺りの海は少し潜れば魚も貝も沢山取れ、森に入らずとも道ばたで果物も取り放題だ。

 

「では行ってくる。動けなかったら無理しなくて良いぞ。まずは休む事、分かったな」

「はい。でも、もうそろそろ動けると思います」

「無理は禁物」

 

日陰にクッションを敷いて、その上に乗せられて掛布でくるまれてしまった。

そんなに疲れている様に見えたのか、いや、見えたのだろう。

どうしても翔雅と翔愛だと体格差が大きく、行為の負担は大きいのだから。

けれどここまで厳重にしなくとも、とも思うのだが聞き入れてはもらえない様だ。

重ねて言われてしまっては大人しく頷くしかない。

そんな翔愛に満足したのか、頭を撫でられて翔雅は颯爽と上着を脱ぐと海の中に消えてしまった。

 

「・・・もうちょっと、体力をつけないと駄目です」

 

逞しい背中を見送ってもぞもぞと動こうとしたがまだ動けなかった。

仕方がないので早く回復する為にもと横になる。

クッションまで用意されているのだから翔雅にはお見通しだったのだろう。潮風が気持ち良く、日陰は涼しく気持ち良い。疲れた身体は直ぐに睡眠を欲して大きな瞳がうとうとと船を漕ぐ。

少しだけ、少しだけ休憩したら果物を採りに。そう願いながら落ちる眠りは当然のごとく思い通りにはならないのだ。



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