星のおくりもの. 13



朝食は基本的にバイキング形式で、好きなだけ甲板のテーブルに用意された料理から皿に盛る。

宴の続きに見えて料理はちゃんと朝食用になっている。

翔雅と翔愛の前には酒に酔って機嫌の良い城の者達がテーブルごと料理をのせて運んできた。

甲板の端、潮風の心地よい場所を陣取って簡易テーブルセットのできあがりだ。

 

「では説明しますね。リュティカ様が羽胤国に運んできたのは『星の石』と言う力のこもった宝石なんです。世界の中でも大変珍しい宝石で込められる魔力はとても大きく、扱いが難しいものです。元々リュティカ様は北の大陸に運ぶ為の中継点として羽胤国に訪れてまして、『星の石』は本来であれば城の地下にある封印を施した倉庫に保管されるはずだったんです」

 

『星の石』とは羽胤国にはあまり馴染みのないもので、『魔法』の発達している南の大陸で生産されるものだ。

生産と言ってもリュティカを含め極僅かな魔導師にしか作れない希少なもので、運搬には細心の注意が求められる。

それを、リュティカは倉庫に収めずに持ち歩いていたのだ。

 

「それで、昨晩の流星群の時に誰もが願いますよね。流れ星ですし。で、酔っぱらって機嫌の良くなったリュティカ様が『星の石』を使ってお願いをしちゃったんですって。みんなの願いが叶えば良いな、と。しかもご自身の力まで込めてしまったので被害は城にまで及びそうです。それで、流れ星に願い事は基本的に物欲や悪事ではなく、純粋だったり可愛らしい願いのみが叶うのが決まり事、と言うかリュティカ様もその辺はしっかりと制限をかけての事だったので大事の連絡はありませんが・・・まあ、叶っては困る人達もいるんですよね。いろいろと」

 

古来より流れ星に願うのは純粋で誰も傷つかない願い事だと決まっている。

一種のお呪いの様なもので、常識として知られているから誰もが流星群に願うのはその当たりの、たわいもない事ばかり。

説明を聞くにつれようやく翔愛にも分かってきた。この赤い糸の理由と、重大さが。

 

「じゃあ、この赤い糸は僕のお願い事なんですね。僕、ずっと翔雅さまと一緒にいたいってお願いしました・・・あ、言っちゃいました」

 

その願いが赤い糸となって翔雅と繋がれたのは翔愛の願いが純粋だったからだ。

真っ直ぐに見つめる相手と永久に共に。今は共にいるが、この先も一緒にと。

叶った願いを口に出してはっと手で押さえる翔愛に翔雅が柔らかく微笑む。

 

「大丈夫だ。叶った願いは口に出しても効果は薄れないし、俺も同じ様な事を願ったから効果が倍増したのだろう。あの阿呆の説明を信じるなら3日後には戻る様だし、混乱がなければこのまま過ごすだけだ」

 

翔愛と翔雅の願いは同じ。

2人視線を合わせて嬉しそうに微笑んでから翔雅が立ち上がってリュティカが投げ入れられた方に歩いていく。

翔愛と珊瑚も気になってついていき、海を見下ろせば寝台がぷかぷかと海に浮かんでいてその周りを羽胤の人々が囲んで、遊んでいた。

リュティカの護衛は真っ青な顔で一緒に浮かんでいるが投げ入れられた本人は楽しそうだ。

 

「リュティカ、重ねて問うが効果は3日間なんだな。叶う願いに危険はないんだな?」

「ないハズだよー。あ、でもあんまり願う力が強かったりしたら分かんないかも」

「どれはどの程度の強さだ」

「んー、あのね、心の強さって言うか想いの強さって言うか、その辺りなんだけど、まずないと思ってくれて良いよ」

「ならば良い。『星の石』は確実に封印庫に持っていけよ。お前ら、そのまま運んでやれ」

 

聞きたいことだけを聞いて、後は海に浮かぶ人達に寝台ごと運ばれていってしまった。

近くの小舟に乗り換えて城まで連行される様だ。

騒ぐリュティカと護衛達をさらっと無視した翔雅は朝食の途中だったと翔愛と珊瑚を連れて席に戻る。



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