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花咲く海で...24
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| やっぱり翔雅の腕の中は安心出来て、好きだ。翔雅の背に手をまわして、ふと思い出した。当たり前だけれども、翔雅は大きくて、翔愛は小さい。 少し考えて記憶を掘り返す。恐怖しかなかった記憶が今は違う意味を持って翔愛の中にぽん、と浮かんで来て。 「翔雅さまを抱きしめる事はできても・・・大変そうです」 思わず漏れた言葉に翔雅が身体を離して翔愛を見た。 「・・・は?」 不思議そうな顔だ。でも、翔愛だって不思議なのだ。 思いあたってしまった事に翔愛は悩む。 「翔雅さまに抱きしめられるのは好きです。肌を合わせるのも、好きだと思います。でも、僕から翔雅さまにしたいと思ったら・・・僕が翔雅さまに」 そこまで言葉にしたら翔雅の手が翔愛の口を塞いだ。 「ちょっと待て」 じんわりと感動していた気持ちが飛んでしまった。少し慌てた翔雅に翔愛は口を塞がれたまま首を傾げる。 純粋な瞳に見つめられた翔雅は焦りながらも、何だか笑いたくなってしまった。 「いや、そうか・・・そう言う考えもあるのか、いや、でも・・・」 様々な想像が翔雅の頭の中に浮かんでは消え、首を傾げる翔愛をちらりと見て、首を振る。 「違う、そうではない。翔愛、申し訳ないが全てをちゃんと口で説明するのは難しいし、さっきとは違う意味になるが・・・照れる」 そっと翔愛の口を押さえていた手を外せばよく分からないと言う顔をした翔愛がまた首を傾げた。 「照れる、のですか?」 「そうだな。流石に、照れる」 純粋に想うからこその考えなのかもしれない。考えもしなかった言葉は、翔愛から翔雅への、紛れもない気持ちの表れなのだろう。適わない。 「ありがとう、翔愛。本当に、翔愛が共に歩むパートナーで良かった」 くすくすと笑いながら告げる言葉なのに、心から嬉しそうな声だ。 どうして翔雅が笑っているのか分からない翔愛だが、ひとしきり笑った翔雅は優しく瞳を細めて、とても優しい笑みを浮かべた。 「愛している、翔愛。誰よりも、翔愛を愛している」 低くて、甘い声。囁く様な声に翔愛の頬がふわりと染まる。 「僕も、翔雅さまを愛しています」 小さな声で答えれば、心もふわりと染まって、そっと翔雅の胸に抱き付けばしっかりと抱き返された。 そのままお互いの呼吸だけを聞いていたら翔愛の頭の天辺に翔雅の唇が落ちた。 「明日の夜、翔愛を抱いても良いか?」 「明日、ですか?」 今ではないのだろうか。 翔雅の胸に頬を付けたまま見上げれば、額に掛かる髪を翔雅の手が梳いた。 「もう遅いからな。それに、今日はもう疲れただろう。無理はさせたくないんだ」 確かに今日は沢山動いたし、沢山話もした。 何時の間にか優しい夜の時間は進んでいて、真夜中にさしかかろうとしている。 時間に気付いてしまえば自然と眠くなるもので、小さな欠伸をしてしまった。 「俺も疲れたから、一緒に眠ってくれ」 翔愛の欠伸に翔雅が笑って、二人で寝台に沈んだ。 |
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