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星降る庭で...61 |
| ふわふわとした気持ちが少し長く続いて、ぱちりと目を開けたら朝だった。 朝日は強い光で寝室の中に入り込んでいて、夜明け近くまで話をしていたけれど、不思議と眠気は無くて、身体の痛みも、足首の痛みも、だいぶ無くなっていた。 ゆっくりと起きあがった翔愛は、そっと足首にある金色のわっかに触れて、そうして、落とした視線の先に何時もは無いものを見つけて目を見開いた。 それは、翔愛のすぐ側で眠る翔雅の姿。寝台に深く沈んですうすうと安らかな寝息を立てているのは、見間違う事無い、翔雅の姿。 「しゅうが、さま?」 寝起きの掠れた声が思わず出てしまう。こんな、無防備に眠る、いや、眠る翔雅の姿さえ翔愛は初めて見る。何時だって翔愛より遅く眠って早く起きている翔雅はきりっとした姿しか翔愛には見せていなくて、こんな風に朝日の中で眠る姿なんて見た事は無いのだ。 微かに聞こえる寝息と、少しだけ寒そうに上掛けに埋もれる、まるで子供の様な安心しきった寝顔。朝日はもう窓の外からきらきらと入っていて翔雅の金色の髪の毛を輝かせている。大きな身体は白い寝間着を羽織っているだけで、ちょっと着崩れして日に焼けた肌が見えて、精悍な顔も今はほんの少しだけ、可愛らしく緩んで翔愛と同じ色の瞳は瞼の裏に隠れている。 「・・・翔雅さま」 小さな小さな声で翔雅を呼んで、それからそおっと指先を眠る翔雅の頬に当てた。温かくて、優しい温度。いつも一緒に眠っているけれど、こんなにもハッキリ翔雅の眠る姿を見るのは初めてで、どうして良いかなんて分からない。夜中に魘されて起きた時、辺りは真っ暗で何も見えなくて、もちろん翔雅の寝顔なんて見る余裕も無くて。 そおっと触れた頬から指をずらして金色の髪の毛にそっと触れた。翔雅の髪の毛はもちろん本物で、朝日がきらきらと、宝石の様に翔雅の髪の毛を照らしていて。 こんなにも、安心して眠る翔雅に抱く思いはどうしもうもない、純粋な好意だけ。怖かった翔雅はもう翔愛の中からは綺麗に消えてしまって、残るのは痛みを抱えた大きくて優しい姿だけ。 「僕は・・・」 触れる髪の毛にそっと指先を絡ませて翔愛は小さな呟きを漏らした。 好き、と言う言葉はまだ良く分からないけれど、少なくとも好意を寄せる翔雅に対して、もう嘘はつきたくない。 翔雅が目覚めたらちゃんと、全部話そう。 それが翔雅の怒りを買っても、嫌われる事になってしまっても。 もう、翔愛はウソツキのまま、翔雅の側には居られない。 安らかな寝息が、安心しきった寝顔が朝日に照らされて、そんな翔雅を見下ろしたまま翔愛は微かに微笑みを浮かべて、小さく、そして、とても大きな決心をした。 けれど。 |
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