feeling heart to you |
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賑やかなお風呂が終わって、ひとしきり騒いで気が済んだみたいな顔してる颯也さんと綾宏さんも一緒に食堂って呼んでる狭い和室に入った。 僕と一留はご飯を食べて、颯也さんと綾宏さんは2人で騒ぎながらお茶を飲んで、そうして、朝ご飯の後、おばちゃんが持ってきてくれたお茶と羊羹を摘みながら長い話が始まった。 僕の事。 今まで何をしていたのか。 どうして此処に居るのか。 話してたのは主に一留だけど、僕も所々を説明して、お昼に差し掛かる頃まで長い話は続いた。 「・・・大変だったんだな」 全てを話し終えると颯也さんも綾宏さんも労る様な笑みを浮かべて、僕を見て微笑んだ。 綾宏さんは僕の肩をぽんて叩いてくれる。 その仕草がとても嬉しくて、僕の壊れ気味の涙腺はまだぼろぼろと壊れたけど、一留に抱き寄せられて慌てて涙をぬぐった。 最近泣いてばかりいるみたいで恥ずかしい。 「で?これからどうするんだ。マネージャーが来るんだろ?」 「んー。どうすっかなぁ。って考え中。っても俺が出来る事なんてたいした事はないんだけどな」 「確かにね、厳しい様だけど、一留君の問題じゃないからね」 一留達が僕を囲んで首を捻ってる。 みんな僕の事を考えてくれてるのが良く分かって、一留も、出会ったばかりの颯也さんも綾宏さんもとても真剣に考えてくれているのが嬉しい。 嬉しくて、思わず笑みを浮かべると一留が優しく僕の髪を撫でてくれた。 その優しさに後押しされて、僕は口を開く。 まだ出にくい声をなるべくはっきり聞こえる様に出す。 「大丈夫、だよ。あのね、一留。聞いて欲しい事があ、るの」 笑みを浮かべたまま、真っ直ぐに一留を見つめると一留も笑みを返してくれる。 とても優しい微笑み。暖かい微笑み。 「僕ね、記者会見する。ううん、しなくちゃ駄目だと思うんだ。僕は今こんなんだけど、僕に出来る事って、あると思う・・・喋る事しか出来ないけど、旨く、言えないけど、ちゃんと・・・みんなの前で言わなきゃ、駄目だ、と思ってるの」 何時までも逃げていたらいけないから。 僕はあの場所で果たすべき責任があるから。 いつの間にか一留の袖をぎゅって握ってた。 ・・・本当は、戻りたくなんて無い。なんて言えない。 何時までもここで一留と一緒に居たい、だなんて、言えない。 「・・・そっか」 重々しい溜息と一緒に一留が僕を抱きしめてくれた。 ぎゅって腕の中に閉じこめて、ぽんぽんって背中を叩いて、僕を離す。 それから、髪の毛をくしゃくしゃってかき混ぜて、撫でつけてくれる。 「最初から分かってたんだろ?」 「一留君よりよっぽど大人だよね」 僕の話を聞いてくれてた颯也さんと綾宏さんも僕を撫でてくれる。 人の手が温かい。そう感じられるのも昔の僕では無理だったと思う。 人の好意を素直に受け取れる事が出来る様になったのは一留のお陰。 大きな手が3つ。僕を撫でてくれて、とても嬉しい。 「錬、無理はするなよ。まだちゃんとしゃべれる訳じゃないんだからな」 「だいじょう、ぶ、だよ」 今日、峯川さんが来るから、そうしたら、ちゃんと僕の気持ちを話したい。 どうなるかなんて分からないけれど、ちゃんと、話したい。 |
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