feeling heart to you |
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目が覚めたのは夜中だった。 まだ眠った時間からそんなに経っていない時間。 真っ暗な部屋の中で、でも僕は一留の腕の中に居た。 何も考えられずに眠ってしまった僕を抱えたまま一留も寝ちゃったのかなって少し身じろいで一留の顔を見上げた僕は、思わず息を止めてしまった。 一留が、魘されてる。 しかも、僕を抱いてる身体が、とても熱い。 驚いて身体を起こそうとしたんだけど、一留を起こしたくなくて僕は少しだけ動いて一留の顔の近くまでもぞもぞと動く。 そうすると、すぐ側に苦しそうな一留の吐息が聞こえた。 じっと見てると、時々綺麗な唇から苦しそうな声が出てる。 それと、悲しそうな呟きも出てた。 それは日本語じゃ無いから僕には何を言っているか分からなかったけど、呟きと一緒に顰められた眉間の皺や、何よりも堅く閉ざされた瞳からうっすらと小さな涙がこぼれ落ちて、僕は本当に驚いた。 ずっと微笑んでた一留。 最初から優しくて暖かくて、何時だって太陽みたいに輝いてた一留。 僕は自分の苦しみばかりでいっぱいになってて、一留の苦しみなんて全然知ろうともしなかった。 何時だって夜は僕の方が早く眠って遅く起きて、一留が魘されているなんて、ましてや熱が出ているなんて知らなかった。 それなのに僕は一留に迷惑を掛けるだけで、何も出来なくて。 「ごめ・・・ね?」 明日、また峯川さんが来る。 そうしたらまた一留に迷惑をかけてしまう。 情けない僕は何も出来ずにきっとまたおろおろするだけだろう。 だって今でも何も分かってない。 これからどうしたいかなんて全然考えられない。 今の状況を受け入れるだけで、ううん、ただ聞くだけでいっぱいいっぱいな僕はまた一留に迷惑を掛けてしまう。 それでなくても僕を抱えて歩いたんだから一留の怪我に良い訳が無くて。 どこまでも、僕は一留に迷惑しかかけていない。 僕は一留に甘えるだけで、泣きつくだけで。 ほんの少し考えただけでも僕は一留に何もしてあげられていない。 このままじゃ、一留の迷惑にしか、ならない。 「いち・・・る・・・」 魘されてる一留。 そっと頬に触ればびっくりするくらいに熱い。 熱が出てるのは直ぐに分かる事。でも、僕は何も、出来ない。 僕は、何も出来ない。 一留の為に。何も・・・。 「ごめん、な・・さ・・」 これ以上、一留の側に居ても、僕は一留に迷惑をかけるだけ。 僕が側に居たら、きっと一留は休めない。 だったら・・・。 だったら、僕は一留の側に居ちゃいけない。 これからきっと、僕のことで大変な騒ぎになる。 それくらいは分かってる。 お父さんとお母さんが逮捕されて、社長も逮捕されて。 そんな騒ぎに一留を巻き込むなんて絶対に、出来ない。 だったら・・・・だったら、僕は一留から離れる。 離れて・・・・あの場所に、行く。 |
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