ハルと猫と魔法使い/日本情緒...06






日の光。畳に反射せず、柔らかく色合いの変わる光。
洋室には無い、和室独特の明るさの中、布団も敷かずに白い身体が切れ切れの吐息を吐き出している。
微かに聞こえるのは既に2人の間では聞き慣れた布の擦れる音と小さな小さな水音。
後は荒い呼吸の音だけで、それでも通常は暗闇の中でしか聞こえぬ音達にハルは赤く染まった顔をさらに染めて覆い被さっているガイルを潤んだ瞳で睨み上げる。

「てめっ、温泉、入るのにっ」

限界まで押し殺した非難の声。
恨みがましそうにガイルを見上げるハルはすっぱりと脱いだお陰で白い肌の全てを日の光に晒している。その肌には所々にガイルの付けた痕が怪しく存在を主張して、ハルを煽るガイルの機嫌を上昇させている。

「後でで良いだろう?今はハルが欲しいのだ」

余裕の笑み。しかしその内には激しい欲が燻っていて、灰色の瞳から感じられる熱さにハルはとっくに白旗を揚げてただただ睨むしか出来ないでいる。
元々力では叶わない。何より気持ちの上でも拒む気になれない。
それらが重なれば何時でも何処でもガイルに組み敷かれてしまう状況が出来上がってしまって、ちょっとばかり悔しくもある。
けれどハルに触れてくるガイルの手はとても優しくて、やっぱり抗う気にはなれない。
だからと言って真っ昼間からこんな事をしたいと言う訳では無いのだけれども。

「ハル、愛している」

愛していると囁く時だけは余裕の表情も何も無くして真剣になるガイルに、ハルは赤い顔をさらに赤くして両手を伸ばしてしまう。
こうなったらもはや条件反射だ。白い手がガイルの背にまわされて、すらりと伸びた足はガイルの腰にまわされる。

「もう、さっさとしろ。温泉、入る、んだからっ」

積極的な癖にぶつくさ言う口は悪くて笑ってしまいそうになる。
けれど、それよりも幸せな気持ちが上回ってガイルは笑みを浮かべたまま、慣らしたハルにゆっくりと侵入する。
ぎち、と音がしそうになるのは始めだけ。後はただガイルの熱さがハルを包み込んで、熱にうかされる。

「んっ、ああっ、あっ・・・ふっ、んぅっ」

まだ昼間だからと言う事もあって声を押し殺すハルにガイルはくすりと笑むと苦しそうに赤い唇を閉じようとしているハルに深い深い口付けをする。
声が出ない様に、息を奪いながら音を立てて柔らかい舌を巻き込む。

「んんっ、ん、ん、んぁっ」

苦しそうに眉間に皺を寄せながら、それでも気持ち良さそうにするハルにガイルは瞳を開けたまま、真っ直ぐにハルを見つめて、さらに動きを激しくしていった。







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