ハルと猫と魔法使い/悪友の三色団子
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ガイルの手の平にすっぽり収まる小さなチューブ。 それはあまりにも見たく無い物であって、あまりにも今の状況には似合う物で。 「潤滑剤と言う物だそうだ。ハルも知っておるのか。それならば話は早いな」 「早くねぇよっ」 そのチューブが何の役に立つ物なのか。 分かっていても今は考えたくない。 しかもソファなんぞに沈んでしまった自分が恨めしい。 この状況では逃げられないじゃないか。 「じゃぁ何故これを知っているのだ?」 「そ、それは・・・」 大学の時にろくでもない先輩に教わったからだ(教わったのは使い方だけだが)、なんて今の状況では言えないだろう。 じりじりとソファの上を未練がましく後退するハルの上にはしっかりとガイルが乗っている。 「ハル、いい加減諦めて落ちろ」 「いやだっ」 諦めて落ちられるコトでは無いのだ。 諦めてしまえば真っ直ぐに貞操の危機だ。諦める訳がない。 両手でばたばたと暴れながらガイルを押しのけようとするのだがハルの細い腕ではガイルを押しのける事なんて出来ない。 あっという間に軽々とガイルの片手がハルの両腕を押さえてしまう。 「はーなーせーっ」 「断る」 ハルの上に覆い被さったガイルはにやりと笑って件のチューブをテーブルに置く。 空いた手で本格手にハルに手を掛けようと、器用な指先を駆使してハルの来ていたシャツのボタンを外していく。 現れるのは赤い痕の付いた綺麗な肌。それに目を細めてガイルは睨み付けてくるハルにゆっくりと口付けを落とした。 「ハル、愛している」 囁く声は低く甘い。 至近距離でガイルの告白を受けるハルは目尻を赤く染めて、ぷいと横を向く。 「うるせぇよ」 一応憎まれ口を呟く物の、その声は小さくて頼りなく、言葉通りにはどうやっても受け取れない可愛さを含んでいた。 |
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