ハルと猫と魔法使い/悪友の三色団子
...08



「これがそうなのか?しかし色が違うではないか」

白、ピンク、緑。昔は桜とヨモギだったらしいが今では食紅だ。
しかしガイルは三色団子を手に首を傾げる。
それを見て市郎が面白そうに笑う。

「日本では三色だったら何でも団子なんだよ、それは一般的な色だ。別にシロクロチャでも構わなぜ?」

シロ、クロ、チャ。
その並びに首を傾げていたハルが表情を険しくする。

「市郎、手前ガイルに変な事吹き込むんじゃねーよ」

どうやら市郎がこの家に来る度に猫達の事を三色団子と言っていたのをガイルが不思議がったらしい。
だからと言ってわざわざ買ってくる事は無いだろうに。

「いいじゃねぇか。これでガイルもより日本に詳しくなっただろ?」

市郎にはガイルを外国人だとしか紹介していない。
最も異世界から来ました、なんて紹介も出来ないのだが、この男の懐は呆れる程に広いし、何より普段から非常識な物に見慣れているからさほどガイルの事は気にしなかった。

「そう言う問題じゃない。けど、ま、いっか。ガイル、それは甘い食べ物だぞ」

とはいえ、何時までも三色団子にカリカリしても仕方がない。
ハルは溜息一つで先程からのいざこざを綺麗さっぱり消してガイルに笑みを向けた。

「甘い食べ物なのか?」

ガイルは不思議そうに摘んだ三色団子を身ながら首を傾げている。
初めて見る食べ物らしい。

「そう、甘い。でもまあ、まずくは無いから食ってみろ」
「分かった。ハルはこれを食べたことがあるのか?」
「もちろんある。結構好きだぜ?」

その言葉に団子を口に含んだガイルは一瞬目を見開くが、嫌いなあじでは無かった様だ。もぐもぐと団子を咀嚼しながら市郎にも意見を求めてくる。







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