ハルと猫と魔法使い/悪友の三色団子
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足下で転がる猫を足の指先で弄りつつハルは煙草を銜えてモニタを見る。

ちなみにハルの家にいる猫は3匹。
シロ、クロ、チャ、と言うセンスのないハルに名付けられた猫達はいずれも長毛主の雑種でふかふかとした毛皮に覆われている。

ぼけっとモニタを身ながらハルは青紫色の瞳を細めて猫を持ち上げる。
相変わらず抱き心地が良い。ふかふかの毛皮が気持ちよい。
銜えた煙草を灰皿に押しやって両手で持ち上げたシロの腹にぐりぐりと鼻先を押しつける。猫好きにはたまらない匂いと感触なのだ。

「何をしているのだ?」

猫の腹感触を楽しむハルの背後から呆れた声がかかった。

声の主は同居人のガイルだ。
銀色の長い髪を一纏めにして黒のエプロンに身を包む、主夫だ。

細長い印象を与えるハルに対しガイルはどこまでも逞しく大きい。
男らしく整った顔立ちに灰色の瞳。
明らかにこの国の人間では無い姿だが、実はこの世界の人間では無いと言う少々複雑な男だ。が、今はハルの同居人で主夫。毎日をかいがいしくハルと猫の世話焼きで忙しくしている。
今も片手に猫2匹を持ってハルの側に猫を下ろした。
そのまま椅子に座るハルの上に覆い被さって白い頬にキスを落とす。

「珈琲を入れた。少し休んだらどうだ?」
「さーんきゅ。でも今日の仕事は終わり。買い物行こうぜ」

頬のキスに同じキスを返してハルは笑みを浮かべる。
綺麗な顔に浮かんだ笑みは優しい色でガイルを見上げていた。







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