ハルと猫と魔法使い/サクラと酒
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さて。何度も言う様だがハルの家は広い。昭和初期に建てられた歴史有る洋館だ。が、歴史が有るだけに古くもあるし、所詮は日本住宅だ。
洋館とは言え昭和初期の建物だ。
屋根は瓦で壁は赤茶色の煉瓦。玄関には土間があり畳の部屋もある。
板の間の方が多いしハルが小さい頃から寝室はベットだったが風呂は五右衛門風呂だった(今は亡くなった祖父母によって檜風呂に改築されている)、そんな家だ。

そして、日本住宅と言うからにはもちろん、縁側もある。
庭も広く、ジャングルの様になっているが、さすが日本の庭。桜の木がある。樹齢百年とも言われそうな大木が一本だけ、縁側から見られる位置に堂々と植わっている。
もちろん、楓もあるし銀杏もある。

「・・・やーっぱ春って言ったら花見、だよな」

でもって花見酒。ハルは久々に開け放った縁側で一人仁王立ちしながらふふふんと笑みを浮かべた。
昼間の日差しが丁度良い縁側。一人分の布団を敷いても十分な広さの縁側だ。
これを使わない手はない。

「チャ、今日は花見だ、酒を飲むぞ!」

足下で日差しを浴びてころがっていたチャを抱き上げたハルはいそいそとガイルを探しにいった。







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