ハルと猫と魔法使い
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「あーあ。朝飯が途中なんだよなぁ。俺生卵駄目だしなー」 作りかけのみそ汁と、まだ作られていないおかずとを思い浮かべて溜息を落とすハルにガイルは声を出さず、微笑みかけるだけでコンロを指さす。 すると。 「お、付いた。お前ほんっとに便利だな!」 ガイルの指先から淡い光が発せられたと同時にコンロに着く炎。 「こんな事で喜ばれるのも何なのだが、まあ、ハルが喜んでくれるならいい。お礼にキスをしてくれないか?」 自慢気にふふふと笑ったガイルは自分の唇を指でさす。 ご機嫌だったハルの眉間にはぐぐぐと皺が寄る。 けれどお礼はお礼。もう何度も繰り返した事だとハルはゆるくガイルの首に腕を巻いて唇を寄せた。 そう。ガイルは本当に不思議の国から来たのだと、いくらのんびりなハルにも確信させたのはこの不思議な力、要するに魔法を使えるからだ。 何せハルの家は広いながらも古くて、ボロだ。 あちこちに修理を要する物々が溢れていて、一番最初にガイルが力と言うか魔法を使ったのは湯沸かし器の壊れた風呂だったりする。 それから、コンロに始まりストーブ、洗濯機、レンジは流石に無理だったのだが(ガイルに電子レンジの構造が分からなかった為と思われる)その他家のあちこちを補強したり修繕したり。本当にガイルは便利なのだ。 少しだけ押しつけた唇を離したハルは、それでもありがたい事に変わりは無く、もう一度、今度は頬に軽くキスをしてガイルの首から腕を解いた。 「ちゃっちゃと朝飯にしようぜ。もうねみーしさ」 ハーフであるハルにとって頬や額へのキスは親愛の印。 割と良く、誰にでもするから何の気にならないし、ガイルが喜ぶ為に割としょっちゅう頬へのキスはするし、今では半ば癖にもなっている。 ガイルも嬉しそうにハルのキスを受けて、頬へのキスをハルに返すと食器棚から2人分の食器を取り出した。 |
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