太陽のカケラ...84



身体はゆらめき乱れた浴衣は既に裸と同じ状態で動きづらい。
身体中を丹念に舐められて触れられて、性器は反応して既にぱたぱたと液が垂れるのにまだ触れてもらえない。
自分で触れようとすれば止められて、泣き出しそうな気持ち良さを感じつつも早くと急かせば司佐の性器に触れる様に促される。両手で触れる性器は大きくて、さっきは怒られたけど今度は舐めて欲しいのだと言われるから先端を舐めて手で扱く。
その間も司佐の手はあちこちに触れてきて苦しい。

「も、はや、く・・・」
「もう少し、我慢だ」
「も、やだ」

気持ち良いのに苦しくて、瑛麻の手と舌で司佐は一度達しているのに我慢だなんて。
涙を零す瑛麻を少し弄って、また泣いたらベッドに仰向けに倒される。乱れまくった浴衣をそのままに司佐が身をかがめて胸元からまた舐められる。
もう我慢できない、触れられてないのに達しそうな瑛麻に見えない所で司佐の唇が下腹から下がって、性器を銜えた。

「やぁ!あ、あ、だ、ダメっ、も・・・イっ・・・!」

突然の感触と達しそうだった性器をぬるりと刺激されて、銜えられたままなのに達してしまった。止まらない精液を飲み込む音がして起き上がろうとするのに力が入らない。
散々じらされた後の刺激についていけない。

「やっぱ不味いな。いや、それもいいか」
「つ、かさ・・・ああっ、あ、や、それ、やだっ」

瑛麻の性器から口を離さず何事かを呟いた司佐がまた舐めはじめて身体が過敏に反応してしまう。今まで感じた事のない感触は確かに気持ち良いもので、でもついていけなくて泣き叫んでしまう。
気持ち良さと同じくらいに怖さがあって、そう間を置かずに達した瑛麻がしゃくり上げればやっと司佐が起き上がる。

「刺激が強すぎたか。瑛麻、大丈夫か?」

汗ばんだ髪を撫でてくれるけど、全然大丈夫じゃない!
涙と過呼吸で声の出ない瑛麻が身を縮めれば抱きしめてくれるけど、得体の知れない気持ち良さに身体が震えたままだ。

「や、やだって・・・言ったの、に」
「ごめんって。そんなに泣かないでくれよ」
「俺、司佐と、したいけど、そんな、急に、むり・・・」

行為を強請ったのは瑛麻だ。ずっと前から望んでいたけど、こんなに怖いとは思わなかった。夢みたいだなんて思ったのに、それすら消えてしまいそうで、悲しい。
そんな瑛麻に抱きしめてくれる司佐が優しい口付けを何度かしてくれるけど急激な刺激で達した瑛麻はまだ涙が止まらない。
でも気持ちは少しずつ落ち着いてきて、呼吸も治まってきた。

「・・・ごめんなさい。俺がしたいって、言ったのに」

落ち着けば気まずくもなる。望んだ行為で怖くて泣くなんて。しかも気持ち良かったのに。
項垂れる瑛麻に司佐がほっと息を吐いて溢れる涙を指で拭ってくれる。

「いや、俺が悪りぃよ。いきなりでごめんな。今度はゆっくり、怖くなくする。また泣かせちまったな」

前回も今回も大泣きした瑛麻に申し訳なさそうに司佐が謝るけど、意味合いはだいぶ違う。行為は行為でもいろんな種類があるんだなと、知ってはいたが体験して思い知った瑛麻もやっと涙が止まって笑みが浮かぶ。

「俺が望んだんだし、その・・・良かった、し」

怖かったけど。知ってしまえば大丈夫だと、小さな声で告げれば笑われて、行為が再開される。
ぐちゃぐちゃになった浴衣を脱いで、司佐も乱れた浴衣を脱いで裸になって抱き合う。
口付けからはじまって、舌を絡めて糸を引いて。
今度はじらさず、瑛麻の息が上がった所で性器を舐められる。また手じゃないんだと思う余裕があるから気を遣ってくれたのだろうか。

「ん、司佐、も、もっと・・・」

水音をさせながら舐められて銜えられて、自然と腰が揺らめく。性器の周りも弄られて気持ち良さだけで達すれば今度は司佐の番。
まだ余韻を残す瑛麻が起き上がってベッドに座る司佐の性器を舐める。上手くはできないけど司佐の手にも助けられて、教えられているみたいだ。達する前に離されたけど。
瑛麻のは飲んだくせにと睨めば視線を逸らされた。

「気持ちが分かった。悪るかった」
「ずるい・・・」

もう一度、と思ったけどその前に察した司佐に止められて、最後に一緒に手で扱いて終わった。


思えば随分回数を重ねた。
瑛麻にとっては間違いなくはじめての回数で、かなり怠くなってしまった。
いろいろと世話を焼いてくれる司佐は流石大人の余裕、と思うけど考えてみれば瑛麻より回数は少なめ。それに体格差と基礎体力からして瑛麻よりかなりタフだろうと思うからやっぱりずるい、かもしれない。

「やっぱ温泉だなあ。偶にはこう言う休みもイイな。瑛麻、疲れてんだから寝てもいいぞ。後は寝るだけだし」
「まだ大丈夫。体力の差を恨めしく思ってただけだから」
「だったら後5kgは増やした方がいいぞ。それくらい減っただろ」

そんなに減ってない、とは言えない。押し黙る瑛麻の額を指で弾いた司佐の身体は見れば見る程に見事の一言で反論もむなしいだけだ。
いや、見事な身体を見ていて思い出した。
あれだけぐちゃぐちゃになったのに司佐はもちろんだけど、瑛麻の身体にもキスマークがない。ワザとなのだろうか。それとも、つけないのが普通なのだろうか。

「どした?」

じっと身体を見比べる瑛麻に司佐が首を傾げるから聞いてみれば驚いた顔をされてから、また額を弾かれる。

「寮で大風呂なんだろ。つけるつけないはまあ当人同士の自由だと俺は思ってるけど、正直あれも傷の一種だと思うから進んでつけようとは思わなねえなあ」

そんなものなのか。確かに内出血ではあるだろうしと思えば瑛麻も頷く。
でも前にあった一つだけのキスマークは偶然なのだろうか。聞いてみたい気もするし、でも聞かない方が良いのかも、と言うか前は喧嘩の傷跡だらけだったから自覚がないのかもしれない。

「微妙に不思議そうな顔してんな。前のはちゃんとわざとだぞ。あんなボロになりやがって、喧嘩するなとは言わねえし傷作んなとも言わねえけど、心配すんだろ」
「司佐・・・その、どうしよう、ごめんて言う前に嬉しくなった」

司佐が好きだ。意地悪されても泣かされても、やっぱり好きだなあと思う。
漏れた言葉はとても素直な気持ちで、真っ直ぐに司佐を見れば珍しく照れた顔になった。
強面の男前が少し崩れて、可愛く見えてしまう。

「真正面から来すぎだろ。ありがとな」

本当はこんな時にこそ好きだと言ってほしいけど、前より言葉がなくても気にならない。
距離は近くて触れているから。そして、言葉以上に行動で貰ったから、かもしれない。

「俺も、ありがと。忙しいのに休み作ってくれて。楽しかった」
「まだ終わっちゃねえだろ。明日のお土産探しがあるんだぜ」
「あ、そっか。そうだよな。気の毒だもんな」
「奮発しねえとな」

明日は特に予定を入れていないから宿から真っ直ぐ帰るだけ。
観光に興味のない瑛麻だし、司佐もその辺はあまり好んで出かけない。
お土産はたっぷり買うとしても旅行の大部分は終了で、司佐に寄りかかりつつ少しもったいないなと思えば抱き寄せられた。


連休は司佐との遠出から帰って残り僅か。
いろいろな、主に夜の体験を終えた瑛麻だけど、身体以上に心が艶々になっての帰宅だ。

「兄ちゃん、うん、良かったね」
「何だよその変な目は。おら、買い物行くんだろ」
「もちろん行くよ。早めに行かないとお店混んじゃうし。あれ、そのブレスレット、司佐の?」
「・・・もらった」

目敏く、と言うか結構目立つブレスレットだ。
和麻の妙なにやけ顔の視線に刺されつつも隠す理由もないからと見せれば今度は嬉しそうに微笑む。

「兄ちゃんに似合うね。流石って言っておこうかな」
「上から目線だなあ」
「だってホントの事だもの」

嬉しそうに微笑めば可愛い弟だ。
仲良く買い物をして街で顔見知りを見つけてそのまま一緒に買い物をしてみたり。

「友達もみんな元気そうで良かった。まあ1ヶ月だもんねえ」
「確かにな。んで、今日はどこだ?」
「今日も地元の子と遊んでくるよ。早く帰るから夜も遊ぼうよ」
「おう。俺は店にいるから遊んでこい」

喫茶店の手伝いをしつつようやく思い出したテキストを広げてみたり。
もちろん瑛麻も地元の友人達と遊んでいるし、夜もそこそこに遊んで、帰りがけに司佐と君琉に遭遇して連行されたり。


忙しくも遊ぶだけ遊んだ連休はあっと言う間に終わってしまう。
名残惜しいけど、帰りは司佐の予定があわなくて、やっと休みの取れた美咲と巧巳に送ってもらう事になった。

「まったく遊んでばっかりで私達は1回しか出かけられなかったじゃない。夏休みは家族旅行よ!絶対よ!」
「僕、夏休みないんだけど・・・」
「そんなの有給休暇ってのがあるでしょ。瑛麻も和麻も一泊二日くらい独占させなさいよね!」

司佐も忙しいけど美咲もかなり忙しい。連休なのに休日出勤が続いた所為ですっかりおかんむりだ。それでも一度は買い物に出かけてお茶もごちそうになったけど、気が済まないらしい。
ちなみに、助手席で一生懸命機嫌の悪い美咲をなだめる巧巳は程ほどに休みがあって、内緒で夕ご飯を食べに行った。絶対に美咲には言えないけど司佐と両親はもちろん知っている。

「美咲、いつもありがとな。でもあんま無理しないでくれよな。俺らは学生だから夏はずっと休みなんだし」
「そうだよ。それに、少しでも一緒に遊べたし、嬉しかったよ。ありがとう。美咲、巧巳さん」
「もう、そんな事言われたら大人しく仕事するしかないじゃない。全く、大人なんだから」
「本当にしっかりしてるよねえ。じゃあ僕からもありがとうね、瑛麻君、和麻君。また帰ってきたら一緒にお茶しようね。美味しい所、探しておくから」
「どこでもいいけど、期待してる」

柔らかい笑みを浮かべる巧巳に美咲も笑みを浮かべて車は静かに学園に戻る。
司佐もだけど、美咲もかなり目立つから本当だったら学園の入り口で降ろしてもらおうと思ったのだけれども。

「まあ美咲が聞いてくれる訳ないよね」
「だな」

ロビーまでなら入れると聞いた美咲が黙っている訳がないのだ。
入り口で許可は貰わななければだけど、それは巧巳が楽しそうに手続きをしてくれて2人揃ってノリノリでロビーまで送ってくれた。


少しだけ離れただけの学生寮。
連休の終わりだからか、午後なのにロビーは人で沢山で、もちろん見知った顔が沢山いるわけで。

「ああ、司佐さんのお姉さんなのか。また目立つ姉弟だよなあ。いっそ関心したぞ」
「似てたよね。華のある美人さん見られて眼福だったよ。おかえり~、瑛麻君、和麻君」

真っ先に会長兄弟にとっ捕まって、あっと言う間にみんなに囲まれたのは当然の事だ。




 


back...next<夏にかけての学園生活・やっと学生らしく・・・?<前編>