太陽のカケラ...27



「お風呂上がりは牛乳一択だよ!大きくなるんだから!」
「1リットル瓶を片手に言われてもな。飲み過ぎだろ、それ」

可愛らしいうさ耳パジャマに似合うと言えば似合うかもしれないが、何も1リットルを一気飲みしなくても良いと思う。

疲れを取るはずの風呂なのに若干披露が増した瑛麻は大人しくフルーツ牛乳(普通サイズ)を片手にロビーのソファ席でぐったり気味だ。
あの露天風呂はすごかった。まだ内風呂の水鉄砲隊やアヒル隊の方がマシだったと思う瑛麻だ。

「無害だが視覚の暴力だからなあれ。俺が言えた義理じゃないが」
「全裸で整列しての合唱は見応えがねえ。違う意味で」

知ってたなら教えてほしい。
いや、それよりも浴衣とバスローブで並ばれてもまた瑛麻の疲労が増すじゃないか。

本当に地味なのは瑛麻だけで、ここの奴らはパジャマにどんだけ気合いを入れてるんだと叫びたい。
ロビーには瑛麻達の他にも風呂上がりで寛ぐ奴らが多く、野郎のパジャマなんて、と言う以前の問題になっている。

会長の浴衣はまだ大人しい方だった。
派手な甚平に着ぐるみ、どうしてだかパンツ一丁の奴らも多く、それはどう見てもネグリジェだろう奴らも若干名。見たくない。
そして、ロビーにいる事での注目度が高くなってうざい。
確かに会長の浴衣姿もサチのうさ耳パジャマも素晴らしいと思う。兄弟揃って見事だ。が、一緒に瑛麻まで注目されても困る。

「じゃ、俺そろそろ戻るわ」

飲み終わったフルーツ牛乳をゴミ箱に放り投げながらひらひらと手を振れば、全員から年寄りっぽいと突っ込まれて本当に年寄りになった気分の瑛麻だった。



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