星のおくりもの. 24



時は夕暮れになる頃で、洋燈の明かりはまだ早いが空はうっすらと色づきはじめている。

綺麗な海の色と賑やかな甲板と数え切れない料理とジョッキ。

最後の宴も開始の合図はなく、気がつけばそれぞれが酒を飲みつつ料理を摘み、暗くなる前から賑やかだ。

今夜は絡まないと言っていた天丸も早々に酔っぱらい、やっぱり翔雅にもたれかかって絡んでいる。翔愛には絡まないあたりが天丸の優しさなのだろうとは思うのだが翔雅が気の毒でもある。

天丸が翔雅に絡んでいる間、翔愛の隣には珊瑚が座っていろいろと話をしている内にリュティカの話が出た。

 

「あ、そうそう。リュティカ様から聞きましたよ。花びらの結晶を頂いたそうですね」

「はい。とても綺麗です」

「結晶ですから細工もできますし、髪飾りにしましょうか?お花の飾りと合わせる様にすればとても良いと思うんです」

「飾り、綺麗です。お願いできますか?」

「もっちろんですよ。では、後日受け取りに参りますね」

 

話題の主でもあるリュティカの姿も見える。テーブルからは離れているが既に酔っぱらっている様で、御機嫌で踊っている。その周りを護衛達が囲んでいて楽しそうで大変そうだ。

 

食べて飲んで騒いで。
宴は船に洋燈が灯っても続いて、周りに停泊している船も賑やかだ。今宵が最後だと皆が知っているからこその騒ぎで、けれど星に願う時間までの事。

やがて星空になり願う時間になればどの船も暗くなり、静かになる。

 

「やっと解放された・・・。さ、今夜こそは願わないとな」

 

ようやく雷吾が天丸を回収してくれて翔雅が自由になった。

翔愛の手を引いて逃げる様に向かったのは船室で、窓を開けて夜空を見えやすくしながら翔愛が飲み物を用意する。

寝台に腰掛けた翔雅が疲れた様に身体を捻る。その姿が申し訳ないけれど面白くて少し笑ってしまう。

 

「今夜で最後。この赤い糸ともお別れなのですね」

 

すっかり馴染んだ指先の赤い糸ともお別れの時間になる。流星群の間だけと言う話だから朝には消えているのだろう。

 

「思えば不思議な体験をしたはずなんだが、実感がないな」

 

手を翳して糸を見て、少し引っ張れば感覚はあるものの不自然ではない。そう思える程ずっと側にいたからだろう。目に入れば存在を思い出すものの、糸で結ばなくとも離れる事はなかったから日常として受け入れていた。

 

「ちょっとだけ寂しい気もしますが、お願いの形、叶って良かったです」

「ああ。実感として目に見えるのも悪くはなかったな」

 

寝台に腰掛ける翔雅の隣に翔愛も座る。窓の外は寝台からが一番良く見える造りだから今夜はこのまま。行儀は悪いが寝台の上に持ってきた料理も置いて、準備万端だ。

寝台の端に寄りかかり、灯りを暗くして星空を見上げる。今夜で最後となる流星群はやはり美しく、幻想的だ。見惚れながら静かに願うのは初日と同じ想い。

いつの間にか手を握られていて握り返して。翔愛から動いたのか、翔雅からかは分からないけれど。二人手を繋いで願うのは同じだろうか。違っていても構わないと思う。声に出さない願いは人それぞれで、できれば皆が幸せである願いが良いと思う。

 

「最後なのが惜しいな。願い事も良いが見惚れるのも良い」

「ええ、不思議で、綺麗です」

「まだ時間はある。夜明けまでは無理だとしても時間の許す限りはこうして堪能するか」

「僕、お昼寝したからいっぱい起きていられます。翔雅さまが眠ったらちゃんと起こします」

「そうくるか。はは、そうだな。ちゃんと起こしてくれよ、翔愛」

「はい」

 

ふふ、と笑って軽く口付けた。

 

 



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>>あとがき
夏休み企画が既に季節が変わり秋となってしまいました。ここまで読んで下さってありがとうございましたー!
久々の星降る庭で。いかたでしたでしょうか。少し成長した翔愛のその後です。そして書いてる本人が言うのも何なんですが楽しそうで・・・くうっ。
ともあれ本編、新婚旅行編の後の彼らを書きたいなーと思っていたので満足です。ありがとうございました。

ちなみに、この流星群のイメージは某ゲームの流星群でした。(流星群のフィールドがあるのです)



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