宴は続き、そのまま朝まで賑やかなままかと思えば深夜近くになってがらりと空気が変わった。
「灯りを消すのですか?」
「明るいと星が見えずらいからな。洋燈はあるが布をかぶせてなるべく暗くするんだ」
のんびりと宴を楽しみ、時折翔雅と共に踊って心地よい疲れに微睡んでいた翔愛は渡された小さな洋燈に目を瞬かせる。
持ち運びのできる洋燈は城内で見かけるものよりもだいぶ小さく、特性の布がかぶせられて洋燈なのに暗い。翔雅の説明を聞けば当然の事で、見れば船内にある全ての灯りが消され、暗い洋燈の光りと交換されていた。
自然と今まで騒いでいた声も小さくなるのは暗闇が濃くなったからだろうか。
海の音と、高揚感を含むざわめきの中で翔雅の手が翔愛を抱き寄せる。
「そろそろと言う事だ。ほら、他の船も灯りを消しているだろう?」
海にいる船はこれだけではない。近くはないが見える範囲に沢山の船が浮かんでいて、大きさもばらばらだ。
言われてみれば全ての船が暗くなって、静かだ。
「・・・暗くて、綺麗です」
「星空がな」
見上げれば輝く星空で月も細く絶好の夜だ。輝く星空は闇の中ではあっても美しく、夜になって冷えた風が翔愛の髪を流す。
少しの間、翔雅に抱き寄せられながら星空を見ていたら唐突にそれははじまった。
「あ、流れました」
「はじまったな。翔愛、流れ星に願いをすると叶うかもしれない、と言うのは聞いたことはあるか?」
「本で読みました。願い事・・・あ、また」
「流星群とは流れ星が群を成す事でもある。沢山あるから願いが叶いやすいかもな」
「とても、綺麗です」
音もなく星が流れ夜空に消える。光る訳でもなく、すう、と流れては消える星に誰もが見惚れて、そして心の中で願いを固める。
翔愛の知る流れ星の願いは絵本で読んだものだ。曰く、流れる星に願いをすれば叶うかもしれない。それは誰にも言ってはいけない。強く願えば願う程、力が増す。それが純粋な想いであればある程。
しん、と静まる甲板で誰もが星に願う。
願いは綺麗なものばかりではないけれど、美しく流れる星に見惚れて願って。
どれくらい時間が流れただろうか。
流星群は絶え間なく続く訳ではなく、ある一定の時間で流れるらしい。
その時間はまちまちで、流れる星が見えなくなっただろうかと思うより前に静かになった空気がまたざわめきはじめる。
こうなればもう終了と同じで、暗くした洋燈をまた明るくして宴の再開だ。
「終わりました。翔雅さまはお願いをしましたか?」
「ああ。翔愛もした様だな」
「はい。あ、言ってはいけないのですよね」
「流れ星の願いだからな。さて、宴はこのまま朝まで続くだろうが俺たちは一休みしよう。明日、いや、今夜もまた星が流れるからな」
気づけばだいぶ遅い時間だ。指摘されれば眠くなるのも仕方のない時間で、小さな欠伸をすれば翔雅に抱き上げらて部屋に運ばれた。