ハルと猫と魔法使い/サクラと酒
...09



「・・・・またやられた」

ベットに突っ伏しながら、今日はチャを抱えてハルはむすくれる。
結局いっつもいっつも良い様にされてしまうのだと分かってはいても何だか悔しい。
しかも最近ではあらぬ所を開発されてしまって、さらに良い様にガイルの手の平で転がされているみたいだ。

「片づけは終わったぞ。クロも回収した」

ぶつぶつとチャ相手に愚痴を漏らすハルの上にクロが降ってくる。
一応寝る時だけは家の鍵を閉めるから猫を回収するのだ。ちなみに、シロはガイルの足下でごろごろ言っている。

背中にある重みは喉を鳴らしてハルのパジャマで爪を研ぐ仕草をしてくれて、尖った爪がなかなかに痛い。

「クロ、お前重いし痛いよ」

言葉程重くは無いけれど軽く背を捻ってクロを揺さぶればガイルがベットの端に腰掛けてクロをどかしてくれる。

「もう寝るのか?」

クロを優しくベットに下ろしてシロも抱き上げてベットの上に乗せたガイルがハルの背に覆い被さってちらりと見える白い項にちゅうと吸い付く。

「よーせーよ、ったく、何が楽しいんだか」

ぶんぶんと頭を降ってガイルを避けるハルにガイルは笑い声を上げながらもう一度項に吸い付いて軽く痕を残す。

「とても楽しいぞ。願わくば私の全てを受け入れてくれるとさらに楽しいのだがな」

ハルの頭が振られるたびに甘い香りがガイルの鼻を擽る。
笑みを残して指先をハルの背からすすっと後ろまでなぞって軽く薄い尻を揉む。

「っ・・・・ンのセクハラおやじ!何すんだよ!」

とんでもない仕草にがばっと起きあがってチャを投げるが当然のごとく受け止められてチャからは猫パンチがハルに向かう。

「毎日言っているが生き物を乱暴に扱うのはよせ。可愛そうだろう」
「お、お前が馬鹿な事をするからだっ」
「馬鹿な事では無い。ハルを愛しているからだろう?」

ああ言えばこう言う。
口喧嘩でガイルに勝てた試しの無いハルがぎゃんぎゃん怒鳴ってもガイルは簡単に交わしてしまうのだ。

「ああもうっ、寝るっ」

次第に旗色の悪くなってきたハルがむすくれるままに布団を持ち上げれば当然の様にガイルも入ってきてハルの身体を抱き寄せる。
猫達も定位置に収まって欠伸をしながら顔を洗う。

「お前はくんなっ」
「ハルはつれない」

もぞもぞと布団の中で言い争いを続けても結局はガイルに勝てなくて、今日もハルの機嫌が悪いままに眠りにつく事になりそうだ。
けれど、どうせ寝てしまえ寄り添ってくるハルにガイルの機嫌が落ちる事は無く、ひたすらハルの愚痴を受けながらにこやかに柔らかい髪を撫で続けるのだ。







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