ハルと猫と魔法使い/サクラと酒
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何処となく冷たい風を含んだ空気が柔らかく、ほんのりと暖かくなった頃。
相変わらずハルは大きくて古い洋館でまったりとした日常を送っていた。


ハルは洋館の主人で二十代後半の青年だ。

異国の血を色濃く引き継ぎ、日本人らしからぬ茶色の混じった黒髪と紫色と青色の混じった瞳を持つ、街を歩けばかなりの確率で逆ナンにあう整った容姿を持っている。
背も高く、すらりとした印象の強い。

しかしその綺麗な外見とは裏腹にサバンナでもジャングルでも砂漠でもマイペースを貫く最強の女王様と裏で言われる様な性格の持ち主であり、その上何処かしら年齢を感じさせない可愛らしさを併せ持っていたりもする。


この洋館は無くなった祖父母から引き継いだもので、今は3匹の飼い猫と一人の居候と一緒に居る。


3匹の猫はそれぞれがシロ、クロ、チャ、と言う何とも情けない名前を付けられてしまった長毛種の雑種だ。
3匹ともふかふかとした毛と愛らしい外見でもって毎日飼い主であるハルをめろめろにしている。


そして、この猫が何故か飼い主であるハルよりも懐いているのが居候のガイルだ。

ハルよりも大きな身長とがっしりとした身体。プラチナブロンドとはまた違う、銀色の髪を背中まで真っ直ぐに伸ばし、髪色とお揃いの銀色よりは少しくすんだ、灰色の瞳を持つハルよりも少しばかり年上の青年。
謎の多すぎるガイルはまずこの国の人間では無い。
どうやらこの世界の人間でも無いらしい。
まだ寒い季節にハルの家の庭先に突然落ちてきたガイル。
名前以外聞こうとしなかったのはひとえにハルの性格故なのだがガイルもそれがありがたいらしく今では毎日を主人であるハルよりも忙しくせっせと主婦業にいそしんでいるのだ。







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