ハルと猫と魔法使い/悪友の三色団子
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「シロ・・・クロ・・・チャ・・・俺はもう駄目だ。敵を討ってくれ」
「何を馬鹿な事を言っておる。動けもしないのに無理矢理手を伸ばすな」
「誰の所為だと思ってるんだよっ」

今日は猫も抱えられずにただただベットに沈むハル。
三匹の猫はいつになく元気のない飼い主を心配そうにベットの上やら下やらで覗き込んでいる。

「ガイル、手前後で覚えてろよ」
「ああ、忘れないさ。ハルは最高だった」
「やかましいっ」

ベットに沈んだまま怒鳴ると身体が軋む。
慣れない運動と入れてはいけない物を入れた所為でハルの体調はぐずぐずだ。
熱まで出てしまってひたすら原因を作った男、ガイルを睨み付けては愚痴を言うしか出来ないでいる。

「そんなに怒るな。後で食事を持ってくる。ハルの食べたい物を作るぞ?」

しかしどんなにハルが睨んでもガイルは上機嫌だ。
念願の物(ハル)を美味しく美味しく頂けたのだからハルの睨みなんてなんのその。
今にも鼻歌を歌い出しそうな勢いだ。

「・・・食いたくない。寝る」

あまりのガイルの上機嫌さに睨む気力も萎えたハルは痛む身体を押してもそもそと布団に潜る。
そんなハルに笑みを浮かべたままのガイルは手を伸ばしてそっと布団からはみ出た髪を撫でる。

「愛している。ハルを、ハルだけを」

告げられるのは以外に真摯な声。
驚いて目だけを布団から出せば微笑みを浮かべているくせに何処か切ない表情のガイルが真っ直ぐにハルを見つめている。

「ばーか。ンな顔すんなよ」

似合わない表情に怠い手を伸ばしてガイルの頬を撫でる。
結局は受け入れているのだ。この男を。

「それに、好きでも無いヤツに無体される程落ちちゃいねーよ、俺は」

だから言葉が勝手に滑り出てしまうじゃないか。
苦笑しながらガイルの頬を撫でるハルに泣き出しそうな笑みを浮かべたガイルは何時までもハルの髪を撫でていた。



そして、数日後。
ようやく動ける様になったハルの手によって玄関先に一枚の張り紙が貼られた。
『高木市郎 出入り禁止 入ったらぶっ殺す!』
書道三段と言う意外な特技を持っているハルによって書かれた張り紙は深紅の文字でとても綺麗に達筆に書かれてて訪れる客の首を傾げさせていたのだった。







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